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2009年7月10日 (金)

民事法律扶助

 一般の方が司法書士の事務所をどのように感じられているかは私たち自身には分かりません。日頃から相談や依頼がしやすい事務所でありたいと思っておりますが、依頼者から見て敷居が低く間口が広い事務所と受け取っていただければと願います。
 司法書士に簡裁代理権が与えられてから6年になりますが、これまでに代理人として行ってきた業務は債務整理に関する裁判や裁判外の和解がほとんどです。多重債務問題に関しては多くの無料相談機関がありますが、司法書士は早くから定期的に無料相談会を開催するなどしてこの問題に関わってきましたのである程度社会に知れ渡っています。
 しかし、このようにインフラが整ってきても、多重債務が一つの原因となるような事件が発生している現実があり残念に思います。仕事の都合で無料相談会に行く時間がなかったり、債務整理をしようにも手数料が払えないなどの理由で踏ん切りが付かず負債が増えていく例が多く見られます。それらの方々は毎月の返済のことで頭がいっぱいで仕事が手に付かなくなりやがては失職する人も出てきます。

 総合法律支援法のもとに3年前に日本司法支援センターが設立されて、民事法律扶助業務がスタートしました。これは、司法書士に支払う費用を立て替えてくれる制度です。立て替えてもらったお金は毎月一定額(原則1万円以上)を返していきます。
 扶助を受けるには一定の条件がありますが、申し込みは受け付けた司法書士が必要書類を添えて法テラスにします。扶助を開始するかや立て替える額については審査会で審査して決めています。書面審査のみですので申込者が法テラスに出向く必要はありません。
 多重債務に関する援助費用は、実費と報酬が含まれますが、その額については基準が定められています。自己破産の場合は実費として1万7000円が支弁されますが、それ以上の予納金については申込者が別途負担しなければなりません。
 援助される金額は事務所で定めた報酬より低い額ではありますが、司法書士は援助されたお金以外に先の別途負担する予納金以外を依頼者に請求することは出来ません。
 この制度は、毎月返済していかなければなりませんので、一定額の収入があるひとでないと利用できません。しかし、収入があれば誰でも利用できるのではなく、その基準は単身者で月額18万2000円以下とされています。

2009年7月 8日 (水)

登記はしなければならないか

 不動産登記は第三者に対抗する要件を備えるためにします。売買で不動産を取得する例でいいますと買主は売主に対しては所有権を主張できますが、登記をしないままにしておくと先の売買のことを知らない第三者がこの不動産を買って登記してしまった場合はこの第三者に対して、自分が先に買っているのだから自分の名義にしてくれと主張しても通りません。この場合は、二重売買した売主に対して既に払った売買代金の返還を請求するしか方法がありません。
 このように、権利を取得したり変動があった場合は速やかに登記手続をすべきです。権利の取得や変動に関して登記義務は課せられていませんがそのままにしておくと不利な状況になる場合があります。
 これに対して、登記簿の表題部に関する事項に変更を生じた場合は、変更があった日から一月以内に変更登記を申請しなければならないとなっております。家を新築したり取り壊したりした場合や、畑を宅地に変更した場合がこれに該当します。不動産登記制度は権利に関しては自己責任(公信力がない)としていますが、土地や建物の物理的状況を表している表題部に変更が生じた場合は所有者に登記義務を課して現況を登記に正確に反映するようにしています。これらの登記の申請を怠ったときは「十万円以下の過料に処する。」と罰則が定められていますが実例を耳にしたことはありません。
 しかし、会社など法人の登記に関しては、登記事項に変更が生じたのにそのままにしておいて後日登記をしたような場合は過料が科せられます。株式会社で役員の任期が満了したのに改選をおこなわなかったり、改選はしたが登記手続をしなかった場合は、登記手続が遅れた期間により金額は異なりますが過料に処せられます。
 法人と取引をする場合は、本店所在地、目的、役員、支店所在地なと登記簿に登記されていること信じて行いますので、変更が生じた場合は二週間以内に登記をするように義務づけられています。 
 ほとんどの司法書士の事務所では取引先に対して定時の役員の任期についてはその時期に通知していますが、途中で生じた事項などについては把握できませんので、会社法人に関しては生じた事情が登記事項であるかどうかの確認をなさることをお勧めします。

2009年7月 6日 (月)

負担付贈与

 贈与は、自分の財産を無償で相手方に与える意思を示し、相手方がそれに受諾することによって成立します。何ら条件なくただで財産がもらえますが、もらった財産の価額に対して贈与税が課税されます。
 一般的な贈与に対して、負担付贈与とは読んで字のごとく贈与に条件(負担)が付いているもので、債務の弁済を条件とした財産の贈与をいいます。負担付贈与により財産の贈与を受けた場合には、その贈与を受けた人は、財産の価額から債務の額を控除した価額に対して贈与税が課税されます。
 負担付贈与は、金融機関からの借入金などの債務を返済することと併せて財産を贈与することが前提となりますが、親族間などで借入金の返済を一部肩代わりする約束で贈与する場合にも負担付贈与となります。ただ、親族間ではその点(返済の一部肩代わり)の証明が曖昧になりがちですので、口座を経由して返済するなどして負担付贈与であることが客観的に証明されなければなりません。
 負担付贈与の場合は、財産の価額から債務の金額を控除した価額に対して贈与税が課税されますので、差額が出なければ申告する必要はないそうです。しかし、贈与の登記手続をすれば申告の有無にかかわらず必ず税務署からのお尋ねがあるそうですので、負担付の贈与である旨を客観的に説明できるようにしておく必要があります。また、一般的な贈与の場合は贈与をした人に関して税金は発生しませんが、債務の弁済を条件に財産を贈与した人については、その負担の価額により譲渡があったものとみなして、所得税法において譲渡所得が課税されます。
 贈与を受けると贈与税がかかりますが、悪質なものでも最長7年経過で国の課税権が消滅し「時効」になります。ただし、過去に贈与を受けていたことにして登記手続をしても、不動産の場合には所有権移転登記の日が贈与した日となります。

2009年7月 3日 (金)

債務整理の辞任

 債務整理を受任しますと、債権者に対してその旨の通知と取引履歴の開示請求をします。債権者は通知を受け取った後は私たち代理人と交渉しますので、たとえ任意整理で和解して返済途中であったも、辞任の通知をしない限り返済の遅れなどがあった場合でも私たち代理人に連絡してきますし、返済が完了すれば私たち代理人へ契約書等を返却します。
 たまたま仕事などの都合で銀行に行けず返済期限に間に合わなかった場合はしかたありませんが、返済計画に無理があり2~3回の返済で行き詰まる方もたまにおられます。この場合は再度相談してもらえば返済計画の見直しを検討できますが、債権者からの未入金の問い合わせに対して、こちらから本人へ連絡しても返事がない場合があります。このような場合、連絡が取れない状態が続きますと債権者に対して辞任通知を出さざるをえなくなります。この通知以降、債権者は本人に対して連絡を取ってきます。

 一番辞任通知を出さざるをえない状況になりのは、破産免責申立事件の場合です。任意整理は、返済計画について以外は依頼者が考えることはほとんどありませんが、破産免責申立事件(個人民事再生申立事件)の場合は、多くの書類を揃えてもらわなければなりませんし、多重債務に陥った経緯や、返済できなくなった経緯を思い出してもらって文章にしてもらわなければなりません。さらに、家計の状態を把握するため毎月の家計収支表を作る必要があります。
 債権調査を終えて、任意整理や特定調停で解決できない場合は、破産免責申立を選択せざるをえません。依頼人が納得した場合は、申立手続に向けて書類の準備などにかかってもらいますが、これがなかなか進まない例が多くあります。書類の有効期限等がありますので当方としては1~2ヶ月程度の短期間に申立までしたいのですが、思うように順調に申し立てできる例はほんのわずかです。
 債権者は相当と思われる申立準備期間中に問い合わせてくることはありませんが、受任からあまりにも時間が経過しすぎると、いつまで申立するかの確約を迫ってくる場合があります。債権者からは本人に対して問い合わせが出来ませんので、いつまでも手続が進まない原因が依頼人にあるのがわからず、代理人に対して不信を募らせることも予想されます。このような場合、依頼人に文書で催促しますがそれでも手続が進まない場合は残念ながら辞任通知を出さざるをえなくなります。辞任すれば全ての関係者にとって無駄な時間を過ごしたことになります。

2009年7月 1日 (水)

登記済証(権利証)がないとき

 不動産を売買したり担保に入れるときに登記済証(権利証)が必要になりますが、紛失したのかどうしても探し出せない場合があります。登記済証を所持していて登記手続のために提供することはその意思が真意に基づいていることの一つの証明になります。
 旧不動産登記法時代に登記済証を紛失したりして提出できない場合は保証人二人で保証書を作って登記をしていました。最初の受付で登記所が登記義務者(売り主など)に確認のハガキを送り、それに署名押印(実印)して一定期間内に登記所に持参もしくは返送されてきた場合に再度受付をして登記手続きが進められました。いわゆる、保証書制度というものでした。

 新しい不動産登記法では、保証書制度が廃止され、事前通知制度が設けられました。紛失などにより登記済証や登記識別情報を提供しない登記手続の申請がされた場合は、登記官は登記義務者に対して登記手続の申請があった旨を通知し、申請の内容が真実であるときは一定期間内にその旨の申出をするよう通知しなければなりません。保証書制度との大きな違いは、保証書に相当するものを添付する必要がなくなったことと、手続きが順調に進めば最初の受付のまま登記手続が終了することです。
 このように、紛失などにより登記済証や登記識別情報を提供しない場合は事前通知制度が基本ですが、私たち司法書士など登記申請の代理を業とする代理人が本人確認情報を提供した場合で、登記官がその内容を相当と認めるときは事前通知制度が適用されません。本人確認情報を提供した場合は登記済証や登記識別情報を提供した場合と同様に登記手続が進み、以前の保証書制度のように登記義務者に確認の通知は送られません。
 本人確認情報を提供する場合は、登記義務者本人に直接会い、運転免許証などの公的証明書で本人であることを確認します。さらに、その不動産の取得経緯など本人でしか知り得ない事実を聴取して慎重に調査する必要があります。
 このように、私たち登記申請手続に携わる者に大きな権限が与えられましたが、虚偽の登記名義人確認情報を提供した場合は、「二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処す。」という、重い罪が課せられます。

2009年6月29日 (月)

企業法務とワンストップサービス

 私たちを取り巻く環境も規制緩和の影響を受けて大きく変わりました。簡易裁判所の代理権を得たということは最大の利点でありましたが、片方では商業法人登記を行政書士に解放せよという試練にさらされています。
 過去の、資格さえ取得すれば仕事が出来ていた時代は終わりました。資格は仕事をするうえでの最低限のハードルに過ぎず、司法書士としての通常業務については出来て当たり前ですので、依頼者は常にプラスアルファのサービスのできる専門家を求めています。
 私たちは依頼者が満足する仕事をしていくために、依頼者は何を望んでいるのか、何をしたら顧客満足度が上がるかを常に研究し続ければなりません。登記手続だけではなくて司法書士が皆さんの生活にどのような貢献が出来るかを広くアピールしていかなければ司法書士という資格の未来はないと思っております。
 登記手続に関する知識は当然として、相続や債務整理に関する分野でも依頼者の悩みや疑問に適格にアドバイスができるように書物から知識を得ることはもとより、常日頃アンテナを広げて情報を得る努力をしています。

 大企業の株主総会はほとんどが先週金曜日に開かれたようで、金融危機のあおりで投資ファンドが手を引いて混乱なく終わっているようです。
 私たちを取り巻く社会の経済活動は、ほとんどが会社(企業)という単位で構成されています。熊本などの地方都市では株式会社の場合でも親族経営がほとんどでありますが、本来、株式会社は広く市場から資金を集めて、その資金を元に経済活動を行い利益を出資者(株主)に還元していく組織です。
 会社法は、企業自体の機関設計に関することや、企業が経済活動を行うにあたって取引先などとの利害の調整に関することを定めた法律です。この分野では長年商業登記に関わってきた司法書士が最も得意とする分野で、会社法の施行にもいち早く対処してきました。
 会社経営におけるトラブルは未然に防ぐことが経済的に一番効率が良く、影響を最小限にとどめることが出来ます。司法書士は、商業登記、不動産登記に長年携わり、簡裁代理権を得て庶民目線のワンストップサービスを提供しています。

2009年6月26日 (金)

根抵当権の債務者の死亡(借金の相続)

 根抵当権は、一定の取引で発生した複数の取引を担保します。会社などが、金融機関との間で極度額をきめて、その枠内で運転資金を借りたり、設備資金を借りたりします。
 債務者(個人)が死亡した場合に以後の取引が出来なくなったら会社の経営が続けられなくなる場合がありますので、民法に債務者が死亡した場合の規定が定められています。
 根抵当権の債務者が死亡した場合は、その死亡から6ヶ月以内に後継債務者(指定債務者)を定める合意の登記をしないときは、根抵当権の元本は相続開始の時(債務者の死亡時)において確定したものとみなされます。次の債務者を6ヶ月以内に定めて金融機関が同意すれば登記をして新しい債務者が新たな借入が出来ることになります。登記をしないで6ヶ月を過ぎると債権が確定しますので普通抵当権と同じ担保権になり、この根抵当権で新たな借入は出来ず今後は返済だけになります。

 債務者が死亡して6ヶ月以内に指定債務者を定める合意の登記をしないでいた場合でも、根抵当権者(金融機関)は共同相続人全員に対して根抵当権債務の弁済を請求することが出来ます。債務者が死亡して相続が開始すると、その債務は共同相続人の相続分に応じて各相続人が承継するからです。
 遺産分割協議で、根抵当権の設定された不動産を相続した者が、その根抵当権の債務を相続するという内容の取り決めをしても、根抵当権者に対してはその同意がない限り対抗できません。
 ですから、遺産分割協議で財産を相続しない代わりに債務も相続しないと共同相続人間で定めても、債権者に対しては債務を共同相続しているのです。
  この場合は、相続により承継した根抵当権債務を、根抵当権者の承諾を得て共同相続人の一人が免責的に債務引受をします。
  本来なら、遺産分割協議の結果根抵当権債務を相続しないことになった相続人が、根抵当権者に申し入れて承継した相続人が免責的債務引き受けをした旨の登記をしなければなりませんが、通常は、根抵当権者からその登記をするように話がきているようです。これは根抵当権債務に限らず被相続人が有した債務全てに共通することでありますが、相談者の大半が、遺産分割協議で債務を相続しないと合意できているので、自分は債務者にはなっていないと思っておられます。

2009年6月24日 (水)

過払金返還請求と払った利息

Dsc_0906152  住宅ローンや車のローンを利用する場合は、返済一覧表が交付されますので毎月いくら返済して何年で返済が終わるかわかります。また、元金に対してどのくらい利息を払うのかも簡単にわかります。
 これに対して、消費者金融から借り入れた場合はリボ払い方式ですので、借入額に対してある一定額以上の返済をしていくことになりますが、いつ返済が終わるかを考える人はほとんどいません。そして同じ方法で数社から借り入れていきますのでいつの間にか多重債務になってしまいます。
 50万円を28%で借りますと、1ヶ月の利息が1万2000円弱になりますので、消費者金融は毎月の返済額として1万5000円以上を返済するように求めるのではないでしょうか。1万5000円の場合、毎月3000円ほどが元金に充当されていきます。
 これに対して金利が5%の場合は、1ヶ月1万5000円返済する場合利息が2000円ほどですので、1万3000円ずつ元金に充当されていきます。金利の差は1ヶ月で1万円も違いがでるのです。

 このように長期に亘って返済を続けますと金利負担が大きくなりますが、短期間だけお金が必要な場合は、金利が高くても審査が簡単であれば便利な場合があります。100万円を15%で借りて半年で返すのと、同じ100万円を2.5%で借りて3年で返すのでは支払う利息は同じになります。事業をしている場合などで早急に資金が必要な場合は通常より高い利息でも確実に返済の目処が立っていれば利用価値があります。

 これまでに任意和解や訴訟で多くの過払金返還請求をしてきました。返ってきた金額が多くなるほど依頼者の方は喜ばれますが、裏を返せば帰ってきた額に比例して長年多額の利息を払ってきているのです。仮に借入元金が100万円以内の限度額で29.2%の取引を続けてきて80万円の過払元金が全額返還された事例ですと、利息制限法18%との差である11.2%が返ってきたことになります。つまり単純に計算しますと80万円も返ってきてはいるが、利息としてちゃんと128万円は払っているということなのです。

2009年6月22日 (月)

農地法

 農地法は法律の目的として第1条に「農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認めて、・・・」と規定しています。つまり、所有者が耕作するのを原則としており、株式会社などの農業参入を困難にしていました。
 ここ最近、食糧自給率の低下や食の安全が注目されるようになり、遊休農地を何とか有効利用して食糧増産が出来ないか検討が重ねられてきました。このような状況の下、農地の有効利用を図る農地法と関係法の改正案の修正案が17日、参院本会議で自民、公明、民主などの賛成多数で可決されて成立し、年内にも施行される見込みになりました。改正法は、株式会社やNPO法人の農地賃借を緩和して農業への参入を緩和しております。

 私達司法書士や土地家屋調査士が農地法について関わりを持つのは、農地について権利を設定したり移転する場合や、農地以外に転用する場合です。該当する農地法の条項は、第3条、第4条、第5条です。
 第3条は、農地又は採草放牧地について所有権を移転したり権利を設定する場合を規定しています。農地を農地として売買したり、賃借権などの使用及び収益を目的とする権利を設定する場合などで、今回の法律に関係している条項です。
 第4条は、農地を農地以外のものにする場合又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く)に転用する場合について規定しています。所有者自身が建築のために宅地などに転用する場合に関係してきます。
 第5条は、農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く)にするために、所有権を移転したり権利を設定する場合を規定しています。住宅を建築するために農地を購入して転用する場合などについて規定しています。
 熊本市などの都市計画区域内では、宅地化を進める市街化区域と宅地化を規制して農耕地を守っていく市街化調整区域に線引きされています。
 3条については線引きに関係なく許可申請になりますが、4条と5条については市街化区域内では許可と比べて簡素な手続きの届出で転用することが出来ます。

 環境に配慮する時代になり、地下水確保や安全な食料品の確保で農業が見直されるようになりました。右肩上がりに経済が成長した時代は、宅地開発目的で4条5条関連の届出や許可がほとんどでしたが、今後は企業の農業参入で3条の許可申請が増えていけば、私達の登記申請手続代理業務も増加していくのではないでしょうか。しかし、まだまだ現実的には農業で安定した収入を得るのは難しいと聞いています。

2009年6月19日 (金)

根抵当権の抹消

 抵当権と根抵当権の違いは、抵当権は一つの債権を担保しますが、根抵当権は取引から発生する複数の債権を担保します。
   一つの金銭消費貸借契約など+抵当権設定契約
   複数の金銭消費貸借契約など+根抵当権設定契約
 具体的には、住宅ローンの場合は融資された金額を担保するため抵当権が設定されます。これに対して、商売などをしている方は、設備資金を借りたり、運転資金を借りたりと複数回にわたって融資を受けたり返済したりします。これらの融資を担保するために融資のたびごとに抵当権を設定し、返済されたら抹消するということを繰り返していたら事務手続きが繁雑になり経済的にも効率が良くありません。
 根抵当権は、このような取引を担保するために設定します。融資する上限(極度額)を決めて、その範囲内で複数の融資を受けられます。例を挙げますと、1,000万円の極度額の根抵当権を設定して、500万円の設備資金を借り、後日、300万円の運転資金を借りるというものです。

 よくあるのが、登記事項証明書(登記簿謄本)を取ってみたら、数年前に返済が終了しているのに根抵当権設定登記が抹消されていないという相談です。
 抵当権は一つの債権を担保していますので、その返済が済めば抵当権も債権と運命を供にして役目が終わりますので、金融機関は、契約書(借入証書など)を返却するとともに抵当権抹消登記手続に必要な書類を交付します。
 これに対して、根抵当権の場合は、原則として、一つの借入の返済を終わった場合、その分の契約書(借入証書など)は返してくれますが根抵当権抹消登記手続に必要な書類は交付されません。先ほど書きましたように根抵当権は複数の取引(融資)を担保しますので、一つの債権の終了に左右されず次の借入に備えて存在し続けます。もっとも、根抵当権で担保されている全ての借入を返済していて今後借りることがないのであれば、根抵当権設定契約を解除する申し込みをすれば抹消登記手続に必要な書類を交付してもらえます。

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